株主・投資家の皆様へ
コンストラクションサポート事業が牽引し上半期の業績は増収増益を達成
- Presenter
- 第33期(2025年3月期)上半期における事業の概況をご報告願います。
- 宮城
- 当期は、①採算性をどう高めていくか、②前期にグループ会社となったホタルクスとの事業シナジーの具現化、といった2つの経営テーマでスタートいたしました。
中核のマニュファクチャリングサポート事業は、製造請負・製造派遣・機電系技術者派遣および修理サービスを展開しております。前期、顧客企業の在庫調整により大幅に収益が落ち込みましたが、当上半期では需要低迷の底を脱した感もあり、不採算面の見直しに取り組んだこともあって、売上高は前年同期比で微減、前上半期に赤字だった利益は黒字に転じました。
建設系技術者派遣を営むコンストラクションサポート事業は、好調を維持しており、売上高は前年同期比で2桁の伸びを継続し、利益も前年同期を上回りました。建設業界では今年の4月から時間外労働の上限規制の適用が開始され、労働力不足による建設プロジェクト遅延への懸念など、当社グループの事業にとってマイナス要因と捉えられる向きもありましたが、残業時間の低減については早くから取り組んできており、特段の影響は出ておりません。顧客企業では残業解消を図るために人材の需要が増加しており、残業規制がむしろプラス要因になった側面もありました。
IT技術者派遣を展開するITサポート事業は、売上高が微増、利益は減益となりました。その要因は、IT人材の高い需要に対する先行投資です。当期から新卒採用を大幅に増やしており、それに伴って増加する教育研修費を第1四半期に計上しております。
EMS事業は、既存事業である受託製造事業および電子部品卸売事業の需要が大きく落ち込みました。セグメント業績としては、前期に加わったホタルクスの照明事業の売上寄与により増収となりましたが、利益は減益となりました。
- 山田
- EMS事業は、電子機器の受託製造・電子部品の卸売りを行うデバイス販売テクノと、照明関連製品の設計開発から製造・販売を行うホタルクスの2社で構成されています。私が代表を務めるデバイス販売テクノは、上半期は厳しい結果となりました。市場環境は一見順調に見えるものの、電子部品需要は各社とも在庫分でおおよそ足りており、新規注文が停滞している状況です。当社の顧客は半導体、医療、繊維、産業機械など幅広い業界にわたっています。通常であれば在庫調整時期は業界ごとに異なり、当社も需要のバランスを取っていました。しかし、コロナ禍以降に起こった、全製造業での部品不足に対応するための先行発注が一段落したことで、多くの業界の在庫調整時期が重なったことが主な要因です。
- 宮城
- グループ全体の上半期連結業績は、好調を維持したコンストラクションサポート事業が牽引役となり、前期におけるホタルクスのグループ会社化に伴う大幅な増収などの要因によって、増収増益となりました。当期経営テーマにも掲げましたホタルクスのグループ内での事業シナジーに関しては、モノづくり技術、品質管理力を活かした受託生産案件を獲得していくことを念頭に、上半期はニーズ調査と案件の掘り起こしに取り掛かり、現在は複数の企業と商談を進めているところです。
- 山田
- デバイス販売テクノの取り組みにおける当期の最大のテーマは、ホタルクスとの協業体制の構築です。当社は製造機能を有していますが、70年の歴史があるホタルクスと比べると、品質管理やモノづくり技術の蓄積に大きな差があると感じています。海外生産の知見から品質保証や評価技術など、学ぶことは多くあります。ウイルテックグループとしては、アフターサービスまで網羅しているため、設計・開発から製造、アフターサービスまでのワンストップ体制をグループのアピールポイントにして営業活動を進めていきたいと考えております。
また、ホタルクスと当社が持つ顧客リストを合わせると、それぞれアプローチできていない領域があります。両社で協力しあえるようプロジェクトチームを発足させ、この上半期から営業活動を進めています。すでに具体的に動き出している案件もあり、照明の販売という面でも少しずつ進展しはじめました。
拡大が予想される受託生産の担い手として新しいマーケットを先導していく存在に
- Presenter
- 今後のEMS事業につきましてどのようなビジョンを描いておられますか。
- 宮城
- はじめに、EMSとは電子機器製造受託サービスのことをいいます。このEMS事業の今後の進展につきまして、3つのニーズの担い手として成長が期待できると考えております。1つ目は、生産品目の「選択と集中」を進めたいメーカー様にとって、自社生産していた製品の一部について外製化の検討が必ずあり、その受け皿になっていくこと。2つ目は、新興メーカー様を中心に、自社では企画から設計開発に注力し、製造工程は外部に委託するといった、メーカーのファブレス化が徐々に進んでおり、我々がモノづくり、生産の面で新興のメーカー様を支えていくこと。3つ目は、海外で開発された製品に対して国内企業が求める日本仕様へのカスタマイズを担う存在となること。
日本では、これらの視点で受託生産を行っている企業は少なく、未開拓市場として魅力は大きなものがあります。EMS事業を担うデバイス販売テクノ、ホタルクスについては、ローコストオペレーションの追求による生産効率向上を推進し、この新しい市場の先導者として成長を牽引してもらいたいと考えております。
- 山田
- 現在、デバイス販売テクノは、技術・製造・販売を組織の核とし、産業機械市場に対し、「電子部品の卸売」「電子基板等の開発・製造(EMS)」「搬送用ロボット等を中心とした生産システムの提案・販売」を展開しております。労働人口の減少や製造拠点の国内回帰を背景に、当社の成長の牽引役として、EMS事業が非常に重きを成すと認識しています。システム提案・販売事業につきましても、同様の理由から今後の市場成長が見込まれており、サポート体制や販売方法の課題を解決しながら事業拡大を図ってまいります。
また、ホタルクスとの協業にも期待しています。当社の工場では対応できる製品の大きさに限りがあり、少し大きな製品になるとお断りせざるを得ず、機会損失が発生していました。ホタルクスの工場は規模も大きく、生産ラインの保全ノウハウを有する人材も多く在籍しているため、当社では対応できない製品の生産をお願いするなど、まずは製造ラインの連携を図っていきたいと考えております。
効率化と生産能力の向上を目的としたEMSの新工場が2025年6月に稼働
- Presenter
- 下半期および通期の見通しを取り組み計画も交えてお聞かせください。
- 宮城
- マニュファクチャリングサポート事業は、市況観は徐々に明るくなるとの予測もあり、それに伴い業績も回復していくと予想しています。コンストラクションサポート事業は、引き続き好調を維持できそうで、上半期以上に利益面での改善を期待しています。ITサポート事業は、自社での採用体制が構築できたことにより、中途採用も順調に増えています。EMS事業は、顧客の在庫調整は当面続くとみられ、需要が戻るタイミングについては、当期末から来期の頭頃より、徐々に新たな発注が出てくるのではと予想しています。
- 山田
- EMS事業においては、当社とホタルクスとの連携で、「営業ワーキング」「モノづくりワーキング」「技術ワーキング」と3つのプロジェクトを立ち上げており、下半期はプロジェクトの進捗を一層加速させることに注力してまいります。この10月には「営業ワーキング」プロジェクトの一環として、ウイルテック・デバイス販売テクノ・ホタルクスの3社が一緒になって、ウイルテックグループとしてEMSのソリューション提案をすべく展示会に出展しました。70社ほどの企業様から訪問要請や引き合いがあり、まずこの70社を商談の段階まで進めることを目指しています。
当期の業績については、現状では厳しい見通しですが、下半期には新規事業であるシステム販売で新たな受注もあり、少しずつですが明るいニュースも出てきました。
- 宮城
- 当社グループは、現在進めている事業ポートフォリオ戦略として、「市場の成長が期待される事業に対し積極的に投資を行う」方針を掲げています。EMS事業においては、生産効率の向上や多品種化を図るため、現在福島県に新工場の建設を進めており、2025年6月の稼働を目指しております。当社グループにとっては大きな投資となりますが、株主様におかれましては、今後の成長にご期待いただくとともに、ご理解賜りたくお願い申し上げます。